【万博MCレポート】キルギス共和国:現場で経験した“想定外”の一日
こんにちは。バイリンガルMCの佐々木理絵です。
今回は、万博でキルギス共和国のナショナルデーを担当する予定だった際の、少し珍しい出来事についてレポートします。
もともとは、キルギスの司会者と日本の司会者(私)によるダブルMCという形で進行する予定でした。前日には台本も共有され、通常通り、内容確認・読み上げ練習・発音チェックなどの準備を終え、当日を迎えました。
ところが本番直前になって、「キルギスの司会者1人で進行する」との判断が下され、私の出番は急遽キャンセルに。
舞台袖でスタンバイしていたところだったので、一瞬状況がつかめませんでしたが、どうやら関係者間のコミュニケーションミスがあったようです。
さらに驚いたのは、その日のリハーサル開始が予定より2時間ほど遅れたこと。
理由を聞くと、キルギスから来日していたパフォーマーたちが「寝坊」していたとのことでした。
滞在費を抑えるため、ホテルではなく民泊を利用していたそうで、モーニングコールなどのサポートもなく、どうやら前日に皆でパーティーのような集まりがあり、誰も時間通りに起きられなかったとの話も…。
正直、想像するだけでもヒヤッとします。
日本の現場ではまず考えられないような事態かもしれませんが、世界の価値観や常識は本当に多様です。
「私たちにとっての“普通”は、決して世界の“普通”ではない」——そんな当たり前のことを、改めて痛感した一日でした。
時間に追われ、分単位で進行する日本のイベント感覚からすると、こうした出来事には心臓が飛び出るほど焦ります。
でも、バイリンガルMCという仕事は、まさに“多様な文化のはざま”に立つ役割。こうしたイレギュラーな状況にも冷静に対応できる柔軟さや器の大きさが求められるのだと感じました。
今回は、結果的にマイクを握ることはありませんでしたが、
現場に立ち、こうした出来事を肌で感じたことで、またひとつ貴重な経験を得ることができました。
「予定通りにいかない」ということも、現場で学ぶ大切な要素のひとつ。
万博MCの現場は、毎回新たな気づきや学びの連続です。
これからも一つひとつの現場に、丁寧に向き合っていきたいと思います。
